アメリカで200兆円のコロナ緊急経済対策法案が通過!
昨日、大規模な財政政策が米国議会の下院を通過しました。
バイデン政権の最初の大きな成果でしょうか。
財務長官のイエレンさんも、「非常に喜ばしい。米国経済は短期的には完全雇用に向かうだろう」と述べています。
本記事では、NYタイムズのポールクルーグマンによる世界経済の考察を紹介したいと思います。

コロナウィルスワクチンが普及し、変異種が拡大することなく、コロナウィルス危機が沈静化したとしたら、その後のアメリカ経済はどうなるのか?
1.9兆ドル経済対策は議会を通るだろうし、経済体政策に当たるメンバーの能力も申し分ない。
私は、1、2年は経済に対して楽観的である。
しかし、
金利の上昇は景気の上昇期待を意味するが、米国の長期債金利の上昇スピードは緩やかである。
1.9兆ドル経済対策は、「救済策」の名が示すとおりあくまで短期的措置である。
救済策の効果が切れた後には、
再び、長期停滞論の世界になるだろう。
突発的な金融危機には脆弱な環境が残るであろう。
長期的な財政政策が必要とされるが、政治的合意が難しい。
金融危機の可能性は否定できないが、1,2年のスパンにおいて株価は強いといったところでしょうか。
米国株は、調整する場面があれば買いでしょうか。
長期停滞論とは?
「長期停滞論」は、ハーバード大学のローレンス・サマーズ教授によって述べられている概念で、
人口動態(主に労働人口の減少)によって需要が減り、完全雇用を達成するための金利がゼロ以下の世界です。
アメリカでは中央銀行が、物価の安定と雇用の最大化という役目を担っていますが、マイナス金利になっても雇用が最大化できないような世界を意味します。
日本は、その典型例でしょうか。
人口増時代がインフレの時代であるなら、人口減時代はデフレの時代です。
このような世界は、鏡の中で表と裏が逆になった世界であり、美徳が悪徳になり、悪徳が美徳になります。
すなわち、財政均衡のような美徳と考えられていた政策、すなわち緊縮財政は悪徳になり、財政ファイナンスのような悪徳だと考えられていた政策が美徳となります。
しかし、クルーグマンは、「コロナ後の世界においても長期的な財政政策は必要であるが、政治的な合意が難しい」と述べています。
長期的な株価も政治次第といったところでしょうか。
バイデンさんの政治手腕に注目です。
※ちなみに、サマーズ教授は、1.9兆ドルは短期的には巨額すぎるので(もちろんないよりはあった方がよいと述べています)、バブルや金融危機の可能性も示唆しています。
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